限られた区画の古木から収穫されたブドウのみを使用し、生産量も少なく希少性の高い白ワイン。
ブドウは古木から収穫され、夜間の涼しい時間帯に手摘みで丁寧に収穫。果実のフレッシュさと香りを最大限に保つため、低温でプレスされた後、新樽のフレンチオークで発酵が行われます。さらに樽熟成を経ることで、果実の純度に加え、奥行きと複雑さを備えたスタイルへと昇華されています。
グラスに注ぐと、白い花や熟した洋梨、白桃、レモンピールなどの柑橘類の華やかな香りに、フェンネル、樽由来のヴァニラやトースト、ナッツのニュアンスが重なります。口に含むと、凝縮感のある果実味としなやかな酸が美しく調和し、豊かなボリューム感を感じさせながらも、全体は非常にエレガント。ミネラル感を伴った長い余韻が印象的で、飲み進めるほどに表情の変化を楽しめます。
料理との相性も幅広く、ロブスターやホタテなどの甲殻類、白身魚のバターソース、仔牛や鶏肉を白ワインと生クリームで煮込むブランケットなど、コクのある料理と特に好相性です。また、樽熟成由来の複雑さを備えているため、チーズやロックフォールのタルト、キノコ料理ともよく寄り添います。熟成によるさらなる深みも期待でき、時間とともに楽しみたい、上質な白ワインです。
Château Puech-Haut(シャトー・ピュエシュ・オー)
物語は1980年代に始まります。創業者の ジェラール・ブリュ氏 は、もともと産業界で成功を収めていた人物でした。しかし「自分の本当にやりたいことは何か」を自問し続けた末、すべてを手放して生まれ故郷のラングドックへ戻る決断をします。目を向けたのは、誰もぶどう畑にしようとは思わなかった荒れ地でした。野生のオリーブの木や低木が広がるその土地を前に、彼は「ここに世界に誇れるワインを生み出す」と心に誓ったのです。
その勇気を後押ししたのが、この地の独特な土壌。粘土石灰質の大地の上に、丸い小石が一面に敷き詰められたような畑は、昼の熱を蓄え、夜にゆっくりと放出することでぶどうを理想的に熟させます。ローヌ地方の銘醸地と共通するこの特徴に、ブリュ氏は大きな可能性を見出しました。
ワイナリーのシンボルである羊のマークも、この開墾作業の中で偶然見つかったローマ時代の羊の彫刻に由来します。大地の歴史と人間の情熱が重なり合った、ピュエシュ・オーの象徴的なアイコンです。
最初に植えられた品種はグルナッシュとシラー。南仏らしい力強さと香り高さを持つぶどうです。その後、樹齢50〜60年の古木カリニャンを含む畑を買い足し、さらにローヌ地方由来のヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌといった白ぶどうも加わりました。今では畑は150ヘクタール以上に広がり、ラングドックの注目産地サン・ドレゼリーやピック・サン・ルーにも区画を持っています。
こうして生み出されるワインは、力強さとエレガンスを兼ね備え、果実味豊かでありながら洗練されたスタイル。世界中の星付きレストランや一流ホテルで取り扱われ、ラングドックを代表するワイナリーとして広く知られるようになりました。
もうひとつ特筆すべきは、ピュエシュ・オーが大切にしているアートとの融合です。ボトルやラベルのデザインには強いこだわりがあり、まるで美術作品のように楽しめるのも魅力のひとつ。特にロゼの「アルガリ」は、フロスト加工を施した美しいボトルとガラス栓を採用し、テーブルに置くだけで華やかな存在感を放ちます。ワイナリーでは美術展やコンサートも開催されており、「ワインと芸術が響き合う場所」として訪れる人々を楽しませています。
創業からわずか数十年で、ここまで世界的評価を得た背景には、ブリュ氏の「土地の個性を最大限に映し出す」という揺るぎない信念 があります。派手なテクニックに頼らず、自然の恵みを活かし、ぶどう本来の表情を引き出す。その姿勢こそが、飲む人の心に深く響くワインを生み出しているのです。
シャトー・ピュエシュ・オーのワインを口にすれば、南仏の太陽と風景、そして造り手の情熱が一体となった世界が広がります。グラスの中から感じられるストーリーを、ぜひお楽しみください。
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