熟した黒果実系の香りとスパイスが複雑に折り重なる北ローヌ産のシラー。滑らかな口当たりと奥深い余韻が魅力の赤ワインです。
畑はシャヴァネイ村の急斜面で、グネイスや片麻岩・花崗岩由来の石質土壌に根ざした40年超の古木から収穫。手摘みされたぶどうは一部除梗して選別後、ステンレスタンクと500Lの大型オーク樽(ドゥミ・ミュイ)で約20日間の醸しを経て発酵、さらに24か月熟成されます。
香りはブラックベリーやカシスなど濃密な黒系果実に、ペッパーやスミレといった花のニュアンス、そしてスモークのようなエッセンスが重なり合って複雑さを醸します 。口当たりは滑らかでありながら力強く、ジューシーな酸とソフトで絹のようなタンニンが、しなやかな構造を形作っています。
飲み頃は2024~2027年頃がピークとされるものの、豊かな構成とミネラル感が備わっており、2030年まで楽しめる余地もあります。
料理との相性は、グリルした赤身肉、ジビエ、スパイシーな料理によく合い、気兼ねなく日常の食卓でも楽しめますが、そのクオリティは格別です。ピエール・ジャン・ヴィラの技とテロワールが映える、存在感ある逸品を是非お楽しみ下さい。
Pierre Jean Villa(ピエール・ジャン・ヴィラ)
北ローヌ、コンドリューとサン・ジョセフの境界にほど近い故郷シャヴァネイ村出身。1992年から10年間、ブルゴーニュで名門ドメーヌ(モメサン、クロ・ド・タール)に学んだ後、2003年にローヌへ戻り、生産者仲間と共同プロジェクト「Vins de Vienne」に参加。2009年には自身のドメーヌを創設し、わずかなヴィンテージからスタートしました。
現在、所有畑は北ローヌの主要アペラシオン(Côte Rôtie, Condrieu, Saint Joseph, Crozes Hermitage)と、ヴィエンヌ付近の新興IGP Collines Rhodaniennesの急斜面まで約17 haに拡大。主要品種として、赤はシラー、白はヴィオニエとルーサンヌで、いずれも平均樹齢30年以上です。
彼のワイン造りは“テロワールを最大限に引き出す”ことに尽きます。畑では有機農法を推進し、自然酵母を用いた醸造、月のカレンダーに従った澱引きと瓶詰め、品種や畑ごとに除梗〜全房発酵の使い分けなど、細部まで配慮を重ねています。さらに彼は革新的な農法にも挑戦。コンドリュー隣接区画では土壌改善のため複数の被覆作物を栽培し、セダムを使った結果、酸味とフレッシュさが際立つ果実が得られることを実証。また、アグロフォレストリー農法を導入し、果樹とぶどうの混植やミツバチ飼育、冬期の羊の放牧で土壌保護と生物多様性を目指しています 。
評価は非常に高く、Bettane & Desseauveから「世代を代表するヴィニュロンのひとり」と称され、2025年の“Le Guide des Meilleurs Vin de France”で2つ星を取得。ブーケは繊細にして力強く、味わいは鮮やかな酸と完熟果実、テロワールを反映したミネラル感が見事に調和すると評されています。
Pierre Jean Villaは、情熱と技術でローヌの土地を深く掘り下げる造り手です。自然への配慮と実践的な農法の両立、品種やテロワールへの敬意を柱とするそのスタイルは、繊細でエネルギッシュ、かつ飲みやすいワインを生み出しています。入門にも熟成にも最適で、ローヌワインの現在と未来を体現する造り手といえるでしょう。
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