ラングドックの名門マス・ド・ドマ・ガサック。
カベルネ・ソーヴィニヨン主体、果実味とスパイスが織りなすエレガントな赤ワイン。特別な日に最適な1本です。
ラングドック地方の名門「マス・ド・ドマ・ガサック」は、フランスワインの常識を覆した革新の象徴です。モンペリエ北西、冷涼なガサック渓谷に広がる畑は、氷河性砂礫土壌と独自の微気候に恵まれ、ボルドーやブルゴーニュに匹敵するテロワールを誇ります。1970年代、創業者エメ・ギベール氏がボルドー大学の地質学者アンリ・アンジャルベールの助言を受け、非クローンのカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に植樹。さらに醸造学の巨匠エミール・ペイノー氏の指導により、1978年に初ヴィンテージが誕生しました。
この赤ワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、マルベック、メルロ、シラーなどをブレンド。深みのあるルビー色、カシスやブラックベリーの果実香にスパイスやハーブのニュアンスが重なり、複雑でエレガントな味わいを生み出します。口当たりはしなやかで、豊かな果実味と上質な酸が調和し、長い余韻が続きます。熟成ポテンシャルも高く、10年以上の熟成でさらに魅力を増す一本です。
「ラングドックのシャトー・ラフィット」と称されたその品質は、世界のワイン愛好家を魅了し続けています。特別な日の食卓や贈り物に、ラングドックのグラン・クリュとも呼ばれる至高の味わいをぜひご堪能ください。
Mas de Daumas Gassac (マス・ド・ドマ・ガサック)
780年頃、シャルルマーニュの側近であった聖ベネディクト・ダニアンがガサック渓谷にブドウ畑を拓いたことが始まりとされ、彼が皇帝にこの地のワインを供したという逸話も残っています。この由緒ある土地は、何世紀もの時を経て、1970年に新たな挑戦の舞台となりました。
当時、革手袋製造業を営んでいたエメ・ギベール氏と妻ヴェロニクは、家族で過ごすための古い農家を探していました。彼らが魅了されたのは、ガサック川が流れる美しい谷間に佇む古い「マス(農家)」と水車小屋。ワイン造りの経験は皆無でしたが、大地への情熱を胸に、この地で何を育てるべきか模索します。そこで助言を求めたのが、ボルドー大学の地質学教授アンリ・アンジャルベール。彼は現地を歩き、土壌がブルゴーニュのコート・ドールに匹敵する氷河性砂礫で構成されていることを発見。「ここならグラン・クリュが生まれる」と断言し、ギベール夫妻の運命を決定づけました。
1972年、非クローンのカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に植樹が始まります。これらの苗木は1930~40年代のボルドーの名門シャトー由来で、品質と多様性を重視した選抜品種でした。さらに、醸造の指導を担ったのは、ボルドーの巨匠エミール・ペイノー。彼は「ここで初めて、グラン・クリュの誕生に立ち会える」と語り、遠隔で初ヴィンテージの醸造を助言しました。こうして1978年、80%カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、マルベック、メルロ、シラー、カベルネ・フランなどをブレンドした初代「マス・ド・ドマ・ガサック」が誕生します。
しかし当初は「ラングドック=低品質」という固定観念に阻まれ、販売は困難を極めました。それでも1982年、フランスの美食誌『ゴー・エ・ミヨ』がこのワインを「ラングドックのシャトー・ラフィット」と絶賛。さらにロンドン・タイムズ紙は「むしろラトゥールに近い」と評価し、一躍世界の注目を集めます。1986年には白ワインも誕生し、ヴィオニエ、シャルドネ、プティ・マンサンを主体に複雑でエレガントなスタイルを確立しました。
1990年代には、よりカジュアルに楽しめる「ムーラン・ド・ガサック」シリーズを開始。これは、ラングドックの優れた区画を守るために地元生産者と協力し、日常に寄り添う高品質ワインを生み出すプロジェクトです。以来、同シリーズは世界中で愛され続けています。
現在、ドメーヌはギベール家の第二世代が運営し、50haの畑に約50品種を栽培。カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、希少な地中海品種や国際品種を巧みにブレンドし、年間約12万本の赤ワインと6万本の白ワインを生産。ガサック渓谷の冷涼な微気候と氷河性土壌がもたらすフィネスは、ラングドックの常識を覆し、世界のワイン地図に新たな歴史を刻みました。
マス・ド・ドマ・ガサックは、単なるワイナリーではなく、ラングドックの可能性を切り拓いた革新の象徴です。グラン・クリュに匹敵する品質と、自然への敬意を貫く哲学。その一杯には、歴史と情熱、そして挑戦の物語が凝縮されています。
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