2015年の自然の厳しさを乗り越え、豊かさと調和を体現した1本。
ドン・ペリニヨン 2015は、まずその「触感」によって印象づけられます。口に含んだ瞬間、ほの暗く謎めいた印象から始まり、やがて唯一無二のテクスチャーが広がります。水平に真っ直ぐ伸びるような骨格を持ち、光り輝くような端正さが感じられる構築的な味わい。口中いっぱいに広がるその感覚は、まるで味わいが空間を描くような、立体的な体験をもたらします。
このヴィンテージは、ドン・ペリニヨンが大切にする「触覚の芸術」を象徴する存在。ワインを味わうという行為に、視覚や嗅覚だけでなく、舌の上で感じる質感という新たな次元を加えています。
香りには、カカオや焙煎のニュアンス、菩提樹やジャスミンの繊細な花の香りが溶け合い、アニスシードやカルダモンといったスパイスのブーケが奥行きを与えます。さらに、オレンジや青パパイヤのようなフルーティでハーバルなフレッシュさも感じられ、複雑で彩り豊かなアロマが広がります。
味わいは、ほのかな苦味が最初に注意を引き、その後に広がる豊かな果実味が心地よい刺激と癒しのバランスを生み出します。立体的な舌触りがその揺れをなだめるように、ゆっくりと地平に向かって開いていく。まさに、感情の波を映し出すような、詩的な味わいです。
Dom Pérignon (ドン・ペリニヨン)
「世界最高のワインを造る」——この言葉を掲げ、17世紀末にシャンパーニュの礎を築いた修道士、ドン・ピエール・ペリニヨン。その名を冠するシャンパーニュ「ドン・ペリニヨン」は、彼の革新と情熱を受け継ぎ、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。
ドン・ペリニヨンの物語は、フランス・シャンパーニュ地方のオーヴィレール村にあるサン・ピエール修道院から始まります。修道士ペリニヨンは、瓶内二次発酵による発泡性ワインの技術を確立し、黒ブドウから白ワインを造る方法や、異なる畑・品種・収穫年のワインをブレンドする「アッサンブラージュ」の技術を生み出しました。彼の創造力は、現在のシャンパーニュ造りの基礎となり、後世に多大な影響を与えました。
その精神は、18世紀後半にモエ・エ・シャンドン社によって受け継がれ、1936年に「ドン・ペリニヨン」として初めて市場に登場。以来、LVMHグループの中でも最高級の位置づけを持つブランドとして、世界のシャンパーニュ市場を牽引しています。
ドン・ペリニヨンの最大の特徴は、「ヴィンテージ・オンリー」という哲学。つまり、単一年に収穫されたブドウのみを使用し、その年の個性を最大限に表現するというこだわりです。作柄が基準に達しない年には、製造を行わないという徹底ぶり。これは、完璧なハーモニーを追求する創造の旅の一部であり、妥協を許さない姿勢の象徴でもあります。
最低8年の熟成を経てリリースされるヴィンテージは、フレッシュさと熟成感の二面性を持ち、時間とともに新たな表情を見せてくれます。さらに、熟成の段階に応じて「P2(プレニチュード2)」や「P3(プレニチュード3)」といった特別なキュヴェも展開されており、それぞれが異なる熟成の頂点を体現しています。
ドン・ペリニヨンは、シャンパーニュ地方のグラン・クリュとプルミエ・クリュの畑から厳選されたシャルドネとピノ・ノワールを使用。オーヴィレール村の石灰質土壌がもたらすミネラル感と、ブドウの力強さが融合し、複雑で深みのある味わいが生まれます。
醸造責任者(シェフ・ド・カーヴ)は、ブランドの哲学を忠実に守りながら、毎ヴィンテージに新たな命を吹き込む存在。彼らは、自然の恵みと人の技術を融合させ、感動を呼ぶシャンパーニュを生み出す「芸術家」としての役割を担っています。
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