約15年の熟成を経て誕生した特別なシャンパーニュ。
2006年のシャンパーニュ地方は、暑く乾燥した気候に恵まれ、特に9月は夏のような陽気が続きました。乾燥した環境はボトリティス菌の繁殖を抑え、ブドウは健全に成熟。収穫は9月11日から始まり、約3週間にわたって行われました。これは理想的な収穫期間であり、ブドウの品質を最大限に引き出すための絶好のタイミングでした。
P2・2006は、約15年の熟成を経て、瓶内での酵母の活動がワインにエネルギーと複雑さを与えています。香りはフローラルでミネラル感があり、葡萄の桃やシトロン、南仏のアーモンド菓子「カリソン」などが織りなす複雑なアロマが広がります。口に含むと、ソフトで温かく、徐々に重厚なテクスチャーへと変化。塩のニュアンスがほのかに感じられ、絶妙な苦味と威厳ある熟成感がフィニッシュを彩ります。
このシャンパーニュは、単なる飲み物ではなく、時間と自然、そして職人の技が織りなす芸術作品。飲むたびに新たな発見があり、まるで森の奥で静かに語られる物語のように、心に深く響く余韻を残してくれます。ドン・ペリニヨン・P2・2006は、時の流れを味わう贅沢を教えてくれる、特別な1本です。
Dom Pérignon (ドン・ペリニヨン)
「世界最高のワインを造る」——この言葉を掲げ、17世紀末にシャンパーニュの礎を築いた修道士、ドン・ピエール・ペリニヨン。その名を冠するシャンパーニュ「ドン・ペリニヨン」は、彼の革新と情熱を受け継ぎ、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。
ドン・ペリニヨンの物語は、フランス・シャンパーニュ地方のオーヴィレール村にあるサン・ピエール修道院から始まります。修道士ペリニヨンは、瓶内二次発酵による発泡性ワインの技術を確立し、黒ブドウから白ワインを造る方法や、異なる畑・品種・収穫年のワインをブレンドする「アッサンブラージュ」の技術を生み出しました。彼の創造力は、現在のシャンパーニュ造りの基礎となり、後世に多大な影響を与えました。
その精神は、18世紀後半にモエ・エ・シャンドン社によって受け継がれ、1936年に「ドン・ペリニヨン」として初めて市場に登場。以来、LVMHグループの中でも最高級の位置づけを持つブランドとして、世界のシャンパーニュ市場を牽引しています。
ドン・ペリニヨンの最大の特徴は、「ヴィンテージ・オンリー」という哲学。つまり、単一年に収穫されたブドウのみを使用し、その年の個性を最大限に表現するというこだわりです。作柄が基準に達しない年には、製造を行わないという徹底ぶり。これは、完璧なハーモニーを追求する創造の旅の一部であり、妥協を許さない姿勢の象徴でもあります。
最低8年の熟成を経てリリースされるヴィンテージは、フレッシュさと熟成感の二面性を持ち、時間とともに新たな表情を見せてくれます。さらに、熟成の段階に応じて「P2(プレニチュード2)」や「P3(プレニチュード3)」といった特別なキュヴェも展開されており、それぞれが異なる熟成の頂点を体現しています。
ドン・ペリニヨンは、シャンパーニュ地方のグラン・クリュとプルミエ・クリュの畑から厳選されたシャルドネとピノ・ノワールを使用。オーヴィレール村の石灰質土壌がもたらすミネラル感と、ブドウの力強さが融合し、複雑で深みのある味わいが生まれます。
醸造責任者(シェフ・ド・カーヴ)は、ブランドの哲学を忠実に守りながら、毎ヴィンテージに新たな命を吹き込む存在。彼らは、自然の恵みと人の技術を融合させ、感動を呼ぶシャンパーニュを生み出す「芸術家」としての役割を担っています。
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