力強さと複雑さを兼ね備えたグラン・クリュ
ブルゴーニュの偉大な赤ワインのひとつとして知られる「ボンヌ・マール」。シャンボール・ミュジニーとモレ・サン・ドニにまたがる特級畑で、ワインのスタイルは「力強さと野性味」が特徴。ミュジニーが繊細で優美なスタイルを持つのに対し、ボンヌ・マールはより筋肉質でスパイシー、長期熟成に耐える構造を備えています。ヴォギュエのボンヌ・マールは、シャンボール側の区画由来の華やかさを持ちながら、赤粘土の力強さをしっかりと感じさせる仕上がりです。
ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエは、この畑の中でもシャンボール側に位置する2.7haを所有し、年間約420ケースという希少な生産量を誇ります。土壌は北側が白い石灰質、南側が赤い粘土質で、これがワインに複雑な個性を与えています。
グラスに注ぐと、深いチェリーレッドの色調。香りはブラックベリーやブルーベリーに、スミレやアイリスの花、さらに白胡椒やハーブのニュアンスが重なり、非常に華やかで複雑です。口に含むと、力強い果実味と緻密なタンニンが広がり、余韻にはスパイスとミネラルが長く続きます。このワインは若いうちは非常にタイトで、最低でも8〜10年の熟成を推奨。ピークは2035年以降で、30年以上の熟成ポテンシャルを秘めています。
力強い骨格とスパイス感が、ジビエやロースト肉、トリュフ料理と完璧に調和します。特別な記念日など、節目のお祝いに最適な1本です。
Comte Georges de Vogüé (コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ)
ブルゴーニュ地方の珠玉の村、シャンボール・ミュジニーに位置する「ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ」は、1450年にその存在が記録された由緒あるワイナリーです。現在の所有者は、1925年から1987年までドメーヌを率いたジョルジュ・ド・ヴォギュエ伯爵の孫娘であるクレール・ド・コーザンとマリー・ド・ラドゥセットの姉妹です。
ドメーヌは合計12.5ヘクタールの畑を所有し、その中にはブルゴーニュ屈指の特級畑「ミュジニー」7.5ha、「ボンヌ・マール」2.7ha、「シャンボール・ミュジニー・レ・ザムルーズ」0.56ha、そして村名畑「レ・ポルロット」などが含まれています。これらの畑は、シャンボール・ミュジニーの多様な土壌と微気候を反映し、ワインに複雑さと深みを与えています。
運営は信頼のおける専門家たちに委ねられており、1986年から2020年まで醸造責任者を務めたフランソワ・ミエ氏の後任として、2021年春からジャン・ルパテッリ氏が着任。栽培責任者は1996年からエリック・ブルゴーニュ氏が務め、販売は1988年からジャン=リュック・ペパン氏が担当しています。
ドメーヌの哲学は「テロワールの尊重」にあり、化学合成物質を使用せず、ビオロジックに準じた栽培を行っています(認証は取得していません)。剪定は短く、収量は30hl/ha以下に抑えられ、1本の樹に対して5〜6房のピノ・ノワールのみを残すという厳格な管理がなされています。
醸造では、ピノ・ノワールは一部除梗され、発酵中はピジャージュよりもルモンタージュを重視。プレスワインは穏やかに抽出され、熟成は14〜15ヶ月間、30〜50%の新樽を使用。瓶詰め前には2ヶ月間ステンレスタンクで「マッセ(統合)」され、年によって軽い濾過を行うこともあります。
ワインのスタイルは、繊細さと力強さを兼ね備えたもの。村名ワイン「シャンボール・ミュジニー」は、フランボワーズの香りと長い余韻が特徴で、1er Cru「レ・フュエ」の果実も一部使用されています。特級「ボンヌ・マール」は、鉄分を含む土壌由来の力強さとスパイス感があり、ジビエ料理との相性が抜群です。
「ミュジニー」は、ドメーヌの象徴とも言えるワインで、古木から生まれる果実の凝縮感と、バラや黒果実の華やかな香りが印象的。その味わいは、時間が止まるような感覚をもたらし、長期熟成によってさらにその魅力を増します。
また、0.66haの区画にはシャルドネが植えられており、希少な「ミュジニー・ブラン」が生産されています。この白ワインは、25年の樹齢を経て初めてグラン・クリュとしてリリースされるという、ドメーヌの品質へのこだわりを象徴する存在です。
コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエは、ブルゴーニュの伝統と革新を融合させ、シャンボール・ミュジニーの真髄を体現するワインを生み出し続けています。
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