1772年にフランス・ランスで創業された歴史あるシャンパーニュメゾンであり、世界中でその名を知られる存在です。創業者フィリップ・クリコの志を継ぎ、1805年にはその息子の死を受けて、若干27歳のバルブ・ニコル・クリコ・ポンサルダンが経営を引き継ぎました。彼女こそが「マダム・クリコ」として知られ、ヴーヴ・クリコの革新と品質の象徴となった人物です。

マダム・クリコは、当時の女性にとって極めて困難な時代に、妥協を許さないビジョンと創意工夫の精神でメゾンを導きました。1810年には初のヴィンテージ・シャンパーニュを誕生させ、1816年には動瓶台(ルミアージュ)を発明。さらに1818年には世界初のブレンドによるロゼ・シャンパーニュを製造するなど、シャンパーニュの製造技術に革命をもたらしました。

ヴーヴ・クリコの哲学は、「品質はただひとつ、最高級だけ」というマダム・クリコの信念に根ざしています。彼女の言葉「私たちのワインは、味覚と視覚の両方に訴えるものでなければならない」は、現在もメゾンの指針として受け継がれています。

このメゾンは、ピノ・ノワールへの深い愛情と、熟成技術へのこだわりによって、力強さとエレガンスを兼ね備えたシャンパーニュを生み出しています。特に、最大規模のリザーヴワインのパレットを持つことで、安定した品質と複雑な味わいを実現しています。

また、ヴーヴ・クリコは「Solaire Art de Vivre(太陽のような生き方)」というコンセプトを掲げ、シャンパーニュを通じて夢や希望、喜びに満ちたライフスタイルを提案しています。象徴的なイエローラベルは、その明るさと前向きな精神を体現しており、世界中の人々に愛されています。

さらに、マダム・クリコの精神を現代に受け継ぐ取り組みとして「Bold by ヴーヴ・クリコ」プログラムを展開。これは、女性の影響力を高め、社会的な包摂を促進する国際的な活動であり、未来を切り開く女性たちにインスピレーションを与えることを目的としています。

250年以上にわたる歴史と革新の精神を持つヴーヴ・クリコは、シャンパーニュの世界において常に先駆者であり続けています。その一滴には、自然と人間の情熱、そしてマダム・クリコの大胆なビジョンが込められているのです。