ローヌの名門シャトー・ド・ボーカステルが手掛ける飲みごたえのある赤ワイン
このワインは、アペラシオンで認可される13品種すべてを使用して造られることが最大の特徴。中でもムールヴェードルをグルナッシュとほぼ同等に用いることで、果実の甘さに偏らない、引き締まった骨格と長期熟成に耐える構造を備えています。畑はガレ・ルレが広がる単一区画に位置し、ミストラルの風がぶどうを健全に育てています。
熟成は主に大樽で行われ、新樽の影響を抑えたスタイル。香りにはブラックチェリーやプラム、スパイス、ガリーグのニュアンスが広がり、口中では熟した果実味としなやかなタンニン、伸びやかな酸が見事に調和します。現在は熟成による深みが増し、土や皮革を思わせる複雑さも感じられます。
料理との相性も幅広く、仔羊のローストや煮込み、鹿肉のロースト(ベリーソース)、豚肩ロースのロースト等との相性が良いです。また、家庭的なビーフシチューやローストビーフなどとも合わせやすく、特別な日の食卓から日常のごちそうまで活躍する1本です。
Château de Beaucastel(シャトー・ド・ボーカステル)
シャトー・ド・ボーカステルは、南ローヌを代表するアペラシオン「シャトー・ヌフ・デュ・パプ」において、最も歴史と評価を誇る生産者のひとつです。その起源は16世紀に遡り、1909年以降はペラン家が5世代にわたり所有・運営。現在も家族経営を貫き、伝統と革新を高い次元で融合させたワイン造りを続けています。
ボーカステルの畑は、アペラシオン北部に広がる単一の大きな区画に位置し、約130haの土地のうち、約100haがぶどう畑として栽培されています。特徴的なのは、アルプス由来の丸い石「ガレ・ルレ」が地表を覆う独特の土壌。日中に蓄えた熱を夜間に放出することで、ぶどうの成熟を助け、凝縮感と複雑味を備えた果実を育みます。さらに、地中海から吹き下ろす強風ミストラルが畑を乾燥させ、病害の発生を抑える自然条件も大きな強みです。
栽培面において、ボーカステルは時代を先取りする存在でした。1950年代にはすでに有機栽培を導入し、1974年からはビオディナミ農法を実践。化学肥料や除草剤に頼らず、土壌の生命力とぶどう樹本来の力を最大限に引き出すことを重視しています。この哲学は単なる栽培手法にとどまらず、「土地と共に生きる」というペラン家の姿勢そのものを表しています。
もうひとつの大きな特徴が、シャトー・ヌフ・デュ・パプで認可されている13品種すべてを栽培していること。赤ではグルナッシュと同等の比率でムールヴェードルを重視し、シラー、クノワーズ、サンソーなどが複雑さを加えます。白ではルーサンヌを中心に、ブールブランやクレレットなど複数品種を使用。多様な品種を組み合わせることで、年ごとの気候変動にも対応しつつ、常に高い完成度を保っています。
醸造においては、品種ごとに分けて発酵を行うのが基本。ムールヴェードルやシラーなどはオーク製タンク、それ以外は伝統的なコンクリートタンクやエナメルタンクを使用し、それぞれの特性に最適な環境を与えます。その後、長年培われたペラン家のブレンド技術によって各品種を統合。熟成は主に大樽(フードル)で行われ、新樽の香りに頼ることなく、果実とテロワールの表現を重視します。
こうして生まれるボーカステルのワインは、力強さとエレガンスを兼ね備え、長期熟成にも耐えうる構造を持つのが特徴です。代表的なChâteau de Beaucastel Rougeは、黒系果実、スパイス、ガリーグの香りが折り重なり、重厚でありながら調和の取れた味わい。白はルーサンヌ由来の豊かなアロマとミネラル感を備え、熟成によってさらなる深みを見せます。特別キュヴェ「Hommage à Jacques Perrin」は、最高年のみ造られる象徴的存在として、世界的な評価を受けています。
シャトー・ド・ボーカステルは、単なる名声に甘んじることなく、自然・家族・土地への敬意を貫いてきた生産者。そのワインは、シャトー・ヌフ・デュ・パプという偉大なテロワールの本質を、誠実に、そして力強く伝えてくれます。
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